何も後ろめたいことはしていなくても、税務調査が入るとなれば誰もがドキドキするもの。特に、初めて税務調査を経験する人は、「調査にどう対応したらいいんだろう?」と不安になり、あれこれ悩んでしまうのではないでしょうか。
税務調査の具体的な対応を知って心の準備をしておけば、いざというときにも慌てません。ここでは、なぜ税務調査が行われるのか、実地調査とはどのような流れで進められるのかを解説します。
できるだけ税金を払わないようにしたい、と経営者が考えるのは当然です。税務上定められた中での「節税」は、何ら悪いことではありません。しかし、実際には「脱税」という違法行為や、意図的ではないにしても法令の解釈の誤りがあるのが現実。
こうした違法な申告やルール違反による不公平が生じないために、税務調査が行われます。「脱税やルール違反はいけません! 課税は公平に!」が税務調査の目的なのです。
また、税務調査には違法行為に対する牽制の意味合いもあります。「正しい経理を行わないと、税務調査が入ったときに納税額が増えるかも……」というイメージが、経理の質を高めるのに一役買っているというわけです。
税務調査については、よく「売り上げが少ない会社には調査が入らない」「赤字決算だから大丈夫」「5年に一度しかこない」などの話を耳にしますが、調査対象を決める明確な基準はありません。過去に不正のあった会社に対して調査の間隔が短くなるのは当然ですが、どんな会社でも税務調査に入る可能性はあります。そのことを肝に銘じましょう。
不正行為がなくても、下記の条件に該当する会社は、過去の傾向からみて税務調査対象になりやすいようです。
税務調査には「任意調査」と「強制調査」がありますが、強制調査(マルサ)は大口で悪質な脱税の疑いのある納税者の場合で、通常の税務調査であれば「任意調査」となります。
任意調査ならば、マルサと違って突然調査官が来ることはないだろう…と思うかもしれません。しかし任意調査でも「事前に税務署から連絡が来るケース」と「予告なく調査官が来るケース」の2パターンあることを知っておきましょう。
税務調査は1日で終了することもあれば、3日以上かかる場合もありますが、基本は2日間で実施されます。以下、2日間のケースを例に対応の仕方を解説します。
実地調査前
事前に実地調査を行う旨の連絡が来ることがあります。税務署から調査日の連絡があっても、都合が悪ければ別の日を提案して構いません。「繁忙期である」などの理由でも、柔軟に対応してもらえます。
実地調査1日目
だいたい9時半~10時ごろに調査官が来社します。最初に会社の概況などを質問されるので、代表者が対応することになります。組織のことから社長の趣味まで幅広い質問がなされますが、調査官は特に仕入れや受注、入金などの「お金の流れ」に注目していることを意識しましょう。
その後、実際に帳簿の確認作業が始まります。この調査の対応は経理担当でもOK。確認作業の最後には、調査2日目までに準備してほしい資料の用意などを頼まれることもあります。
実地調査2日目
初日と同じ時間に調査官が来社するので、前日に依頼された資料等があれば提出します。夕方まで実地調査が行われ、最後に2日間の調査内容について報告があります。この時点で調査が終了しなければ資料を持ち帰ってもらいます。追加資料を求められた場合には、できるだけ早く提出しましょう。
実地調査後
実地調査後、1週間~数カ月で税務署からの問題指摘とそれに対する反論(交渉)を行います。
税務調査の時、調査官はどんなところを主に調査しているのでしょうか?特に見られやすいポイントは下記の通り。いずれも、お金について正しい処理を行っていると示すことができれば何も問題ありません。
不正さえしていなければ、税務調査は怖いものではありません。税務調査が入っても堂々と対応できるよう、日頃から正しい経理処理を行い、確実に申告をすることが何よりも重要です。そのためにも、日々の経理をしっかり丁寧に行わなければならないことを、分かっていただけたでしょうか?
それでもなお、顧問税理士がいない会社などで「自分たちだけで税務調査官にうまく対応できるか不安」という場合は、税法に精通した税理士に立ち合ってもらうのが一番です。
法人税申告を行うためには、以下のような書類を作成する必要があります。
これら書類の作成ページでご紹介する要点を押さえて、申告書を読むための一助にしていただければと思います。