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法人成りするメリット・デメリット

2015/08/25

法人成り(法人化)とは、個人事業主が新たに会社を設立し、「法人」に事業形態を移すことです。事業が軌道に乗ってきて、将来的に法人成りを考えている個人事業主の方もいるのではないでしょうか。
今回は、法人成りすることにどんなメリット・デメリットがあるのかをご紹介します。

<目次>

法人成りするメリット

法人成りには、事業を発展させるうえで重要ないくつもの大きなメリットがあります。ここでは、一般的に「よく知られているメリット」と「節税に関するメリット」に分けてご紹介します。

経営に関するメリット

信用が大きくなる
会社のなかには「相手が法人でなければ取引をしない」と決めているところも少なくありません。法人になったからといって100%信頼できるようになるわけではありませんが、一般的に、そのような見方があるのは事実です。さらに、法人でなければ出店が認められないオンラインショップもあるため、実際にビジネスの幅も広がります。
融資を受けやすくなる
法人化することで信用度が上がるため、個人事業と比較すると、銀行などから融資を引き出しやすくなるといえます。また、法人成りすれば、会社が契約者、経営者が保証人となる場合が多いため、第三者に保証人を頼まずに済みます。家族や友人に迷惑をかける可能性を排除できるということです。
経営者が負う責任の範囲が狭まる

万が一事業が失敗して負債が発生した際、個人事業では、事業主が無限の責任を負わなければなりません。一方、法人成りした場合は、「株主有限責任の原則(※)」があるため、株主である経営者の責任は有限となります。ただし、経営者が融資などの契約で保証人になっている場合は、返済などの責任を追わなければならないので注意しましょう。

※株主は、自分が出資した金額以上に責任を負わないとする原則です。

事業を円滑に継承することができる
個人事業の場合、銀行口座などは事業名でなく個人名義であるケースが多いです。事業主が死亡したときのことを考えると、財産を保護するために口座が凍結され、事業に使うお金も引き出せなくなります。また、配偶者と離婚した場合は、事業で使用する口座や不動産といった資産も財産分与の対象になります。
一方、法人化すると資産は会社のものになるため、経営者個人の問題による事業継承の滞りはなくなります。ただし、会社を任せられるだけの後継者を育てておくことも忘れてはなりません。

上記のほかにも、「信用が大きくなる」ことに伴う「よい人材が集まりやすくなる」「助成金に申請できる」などが、法人化するメリットとしてよく知られているかと思います。

節税に関するメリット

経営者の給与を損金として計上できる
個人事業の場合、売上から費用(仕入や事務所の賃料といった経費)を引いた額がそのまま所得になるため、給与を支払うという概念がなく、経費とすることができません。
一方、法人の場合は、会社から経営者に給与を支給することになります。つまり法人成りすれば給与を損金として計上でき、会社の益金を減らすことにつながるため、結果的に税金を抑えることができるのです。ただし、経営者の給与(役員報酬)を損金算入させるためには条件があるので注意しましょう。この点はコラム「経営者のための役員報酬入門 ~役員報酬の決め方から変更方法まで~」で詳しくご紹介しています。
所得を分散できる

個人にかかる所得税は累進課税制度であるため、1人よりも数人に所得を分散させたほうが税金を抑えることができます。法人成りすれば、これが可能です。
個人事業の場合でも、一緒に働いている配偶者や子どもが青色事業専従者と認められれば給与を支払うことはできますが、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出し、一定の要件を満たさなければなりません。参考までに、その要件を以下に示します。これらをすべて満たさなければ青色事業専従者と認められないとされています。

  • 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
  • その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
  • その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

なお、事業専従者としての家族に給与を支払う場合、個人事業主には配偶者控除扶養控除が適用されませんが、法人の場合は適用できます。ただし、事業専従者の給与を年間103万円以下にする必要があることに留意しましょう。

退職金を損金として計上できる
給与の考え方と同様に、個人事業主の場合は事業主が自らに退職金を払うという概念がありません。これは事業専従者に対する退職金の支給も同様です。
法人成りした場合は法人から退職金が支給されることになるため、損金として計上でき、会社の益金を減らすことになり、節税につながります。
保険の種類によっては全額損金算入できる
個人事業主だと、生命保険、介護医療保険、個人年金保険を8万円以上支払った場合、そこからどれだけ多く支払ったとしても、最大12万円までしか所得控除となりません。
法人化して、会社が契約者、従業員が被保険者、という契約を結べば、全額損金算入できることがあります。保険の種類としては、収入保障保険や医療保険、がん保険などが全額損金算入できるものとして認められています。
欠損金を繰り越せる年数が増える
欠損金の繰越控除とは、前年度の欠損金(赤字)を来年度以降に繰り越して、各事業年度の所得から控除する制度です。詳しく知りたい方は、コラム「【税理士が教える】法人税還付の基礎知識」をご覧ください。
個人事業(青色申告)の場合は3年間しか繰り越すことができませんが、法人成りすれば、欠損金を9年間繰り越すことができます。
資本金1,000万円未満であれば設立から1年間は消費税が免除される
資本金を1,000万円未満にするだけで、法人を設立してから1年間は消費税が免除されます。2年目も免税事業者となるための条件については、コラム「起業から2年間、消費税が免除される方法」で詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。

上記のほかにも、各種手当や社員旅行など、個人事業では認められなかったものが損金計上できるようになる、節税に関するメリットがあります。

法人成りするデメリット

ここまで法人成りするメリットをご紹介してきましたが、デメリットも存在します。ただし、事業を拡大させていくうえでは避けて通れないものもあるため、「本当にデメリットなのか」ということを考えながら読んでいただければと思います。

法人登記費用がかかる

現在は資本金1円から会社を設立できますが、法人登記にかかる費用は別です。定款認証手数料、履歴事項全部証明書など、会社設立時の手続きには最低でも266,500円(※)かかります。
また、登記費用のほかにも、会社を新設する際にはさまざまな費用が発生します。これついては、コラム「実は意外とかかる!会社設立時に出ていく費用」で詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。

※電子定款を利用する場合は、そのうち定款印紙代40,000円が無料となります。

複雑な事務処理をこなさなければならない
法人になると、各種保険の手続きといった事務が一気に増えます。会社法に従った会計処理と、それに基づく税務申告書類の作成なども行わなければなりません。本業に専念しつつ正確な経理業務を実行するには税理士と顧問契約を結ぶのが得策ですが、この場合は税理士報酬が費用として発生します。
ただし、税理士にかけるコストと、税理士が会社にもたらすノウハウ(節税対策の方法など)を天秤にかけると、事務負担の増大は一概にデメリットとはいえないでしょう。会社の成長を考えるなら、複雑な事務処理をこなすことは、ひとつの絶対条件と捉えるべきかもしれません。
なお、税理士を使って経理を効率化することのメリットは、コラム「税理士を使って経理を効率化! そのメリットとは?」で詳しくご紹介しています。
赤字でも法人住民税を納付しなければならない
個人事業にせよ法人にせよ、赤字であれば課税所得にかかる税金を納付する必要はありません。しかし、法人の場合は赤字であっても地方税である法人住民税(法人都道府県民税と法人市町村民税)の均等割を納めなければなりません。
法人税、法人住民税、法人事業税の仕組みについて詳しく知りたい方は、コラム「法人税、法人住民税、法人事業税の違い」をご覧ください。
従業員を雇い入れる場合は社会保険に加入しなければならない
個人事業の場合、従業員が5人未満であれば社会保険に加入することは強制されていません。ところが法人の場合、雇い入れる従業員の人数に関係なく、必ず健康保険と厚生年金保険へ加入しなければなりません。会社は保険料の半分を負担する必要があります。
損金算入できる交際費が限定される
個人事業の場合、もちろん事業に関係したものでなければなりませんが、損金に計上できる交際費に上限はありません。
一方、法人の場合は制約が儲けられており、「交際費の損金算入を800万円までとする」か「飲食で使用した交際費の50%を損金算入させ、それ以外を不算入とする」のいずれかを選択することになります。ちなみに、飲食にかかった50%が800万円を超えても、その部分は損金算入できます。

上記のほかに、「税務調査に入られやすい」というデメリットを想像する方もいますが、それは間違いです。たしかに「税務調査の対象となる傾向にある会社」は存在しますが、個人事業主にも税務調査が来る可能性はあります。税務調査の目的や選ばれやすい会社については、コラム「税務調査はなぜ行われるのか? 調査の目的、選ばれやすい会社とは」でご紹介しています。

まとめ

特に節税に関して、「法人成りのメリットは意外と大きい」と思われた方も多いのではないでしょうか。しかし、実際に法人化してみると労力と手間がかかって大変だという声も聞こえてきます。デメリットに目を向け、準備や体制整備を行うことも重要です。法人成りを検討する際は、ぜひデメリットについての理解も深めていただきたいと思います。

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