「仮装隠蔽行為」と「偽りその他不正の行為」の違いについて

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法人税・相続税 申告お役立ちブログ

2023.10.30

法人税の節税対策

「仮装隠蔽行為」と「偽りその他不正の行為」の違い

重加算税の賦課対象となる項目のひとつに「仮装隠蔽行為」というものがあります。
仮装隠蔽行為とは、あるものを隠したり、ないものをでっち上げたりすることです。具体的には売上をごまかすこと、存在しない経費をねつ造することなどがこれに当たります。
これとよく似たものに「偽りその他不正の行為」があります。この2つは内容もよく似ているうえ、判断基準にも明確な規定はありませんが、罰則面で大きな違いがあります。

「仮装隠蔽行為」と「偽りその他不正の行為」とは

「仮装隠蔽行為」と「偽りその他不正の行為」は、税金をごまかす意図がある、所得隠しなどの行為を指します。簡単にいえば「仮装隠蔽行為」はそのなかでも軽微なもの、「偽りその他不正の行為」は甚大なものです。
なお、経費の計算ミスなど脱税の意図がないと考えられる単純な間違いは、「申告漏れ」と区分して処理されます。

仮装隠蔽行為

「仮装隠蔽行為」はよく「所得隠し」といわれます。書類の改ざんや売上の隠蔽など、意図的に所得を減らす行為がこれに当たるからです。
仮装隠蔽行為の場合の成立要件について、国税庁は以下のような事例を示しています。

  1. いわゆる二重帳簿を作成していること。
  2. 帳簿、原始記録、証憑書類などを破棄又は隠匿していること。
  3. 帳簿書類の改ざん、虚偽記載、相手方との通謀による証憑書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算。
  4. 帳簿書類の作成又は記録をせず、売上その他の収入の脱漏又は棚卸資産の除外をしていること。

具体的には売上の除外や証拠書類を廃棄するなどして売上を隠蔽した場合、あるいは架空仕入・架空契約書の作成などを行って事実を仮装した場合などがこれに当たります。
ただしこれらはあくまでも例示であり、重加算税を課されるケースはこれに限ったものではありません。重加算税の対象となるかどうかは、税務署の判断により左右されることが多いです。

仮装隠蔽行為の事例

「仮装隠蔽行為」に認定された事例として、以下のようなものがあります。

Aさんは自分が行っている事業を法人化することにしました。その際、法人で引き続き働く従業員に対して、退職金を支払うことにして、その金額を必要経費に算入していました。法人化してからは、「未払退職金」として経理に引き継ぎ、確定申告では「退職金を支払った」と計上しました。しかし実際は退職金を支払っておらず、その事実を隠蔽していました。
裁判では、もともとAさんに退職金を支払う意思があったとは認められないとして、未払退職金の設定行為そのものが「仮装隠蔽行為」と判断されました。

偽りその他不正の行為

仮装や隠蔽を行ったなかでも、その金額が大きかったり手口が悪質であったりした場合、告発を前提とした調査が行われます。これがドラマなどでよく見る国税査察官(マルサ)による調査です。国税査察官が取り扱う調査は、所得隠しの金額がおおむね1億円を超える場合といわれています。
この調査を経て告発、起訴されて有罪となるとき、初めて「偽りその他不正の行為」となり、刑事罰が科されることとなります。テレビや新聞の報道で目にする「脱税」はこれのことです。

偽りその他不正の行為が成立する要件としては、『税の賦課徴収を不能又は著しく困難にするような何らかの偽計その他の工作』のあることが必要とされています。偽計とは『他人を欺くはかりごと。また、その手段(広辞苑)』。税務署員の質問に対して嘘をついて答えたり、虚偽の事実を提示したりするなど、税務署の目を欺くようなことを行うと「偽りその他不正の行為」に当たることがあります。

偽りその他不正の行為の事例

「偽りその他不正行為」に認定された事例として、以下のようなものがあります。

Bさんは今年、多額の不動産所得を手に入れ、それを申告すべきことも認識していました。そして確定申告書を作成するにあたり、税理士から不動産所得に関する質問を受けました。しかしBさんは「去年と不動産所得の額は変わりません」と嘘をつき、新しく手に入れた不動産所得についての資料も提示しませんでした。このように、高所得でありながら税理士に過小な申告を記した確定申告書を作成させ、所得の大部分を申告しませんでした。
裁判では、Bさんの行為は重加算税の賦課要件に該当するとともに、「偽りその他の不正行為」であると判断されました。

「仮装隠蔽行為」と「偽りその他不正の行為」の処分

「仮装隠蔽行為」と「偽りその他不正の行為」は処分の方法も異なります。
「仮装隠蔽行為」は行政上の処分、「偽りその他不正の行為」は司法上の処分となります。

仮装隠蔽行為の処分

「仮装隠蔽行為」は行政上の処分となり、基本的には附帯税を払えば処分はおしまいです。
国税通則法の第68条には「税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは当該納税者に対し重加算税を課する(一部抜粋)」とあります。
具体的には追徴税に対して35%~40%の重加算税が課されます。また、青色申告の承認が取り消される場合もあります。

偽りその他不正の行為の処分

「偽りその他不正の行為」の場合は、司法上の処分となり刑事罰が科されます。つまり前科がつくので、社会的な地位や評判にも大きく傷をつけることとなります。これは企業や法人にとって大きな痛手でしょう。
罰則としては「5年以下の懲役」もしくは「500万円以下の罰金」が科されます。
また申告の更正期間が7年となり、税務調査も7年をさかのぼって行われます。これだけで追徴税の額がとても大きなものになります。また、更正期間については延滞税の免除もなくなります。

まとめ

「仮装隠蔽行為」と「偽りその他不正の行為」には、それぞれ重い罰則が適用されます。
特に司法からの処分を受ける「偽りその他不正の行為」は、企業の社会的な側面にも大きな影響を与えます。
法人は登記の関係上、税務署が事業を行っていることを把握しているため、脱税は必ず発覚します。脱税ではなく節税に務め、きちんと申告・納税しましょう。

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