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国税局出身の税理士が語る!税務調査の基礎知識と調査の流れ

2015/04/03

国税局に勤務し税務調査を行うこと22年あまり。現在は年間100社以上のお客様からご相談をいただいており、個人ではこれまでに500以上、事務所全体では2000を超えるお客様の決算申告書を作成することでノウハウを蓄積してきました。
今回はそんな私が、税務調査の基礎知識や調査に必要となる準備、調査の流れなどをご紹介したいと思います。

税務調査の基礎知識

税務調査とは

税務調査とは、納税者の申告内容が正確なものであるかを確認する調査のことです。
帳簿などの内容から申告額の妥当性がチェックされ、誤りがあれば修正申告や追加の納税をすることになります。ここでは、税務調査の種類や流れ、必要な準備についてご紹介します。

税務調査の種類

一口に税務調査といっても、実はいくつかの種類があります。それぞれの概要をご説明します。

任意調査

税務署や国税局の調査部、資料調査課が通常行う調査です。
税務調査の8割ほどが任意調査だといわれています。
任意調査の中にも「準備調査」と「実地調査」の2段階があります。

準備調査

実地調査に入る準備をするための調査です。
納税者が提出した申告書などを、独自に収集した情報と照らし合わせて分析する「机上調査」が行われます。
また必要であれば、調査対象の立地条件等を把握するために「外観調査」を行うこともあります。
これにより、調査対象となる企業の問題点や重点的に調査すべき項目が判断され、実地調査が決定されます。

実地調査

大きく分けて「一般調査」「現況調査」「特別調査」「反面調査」の4つがあります。

一般調査 最も多く行われている調査で、帳簿を中心に申告内容の適正さが調査されます。提出された申告書の内容が税法の規定通りに処理されているかどうかを最終的にチェックするためのものです。帳簿調査が中心ですが、調査官が必要と判断すれば、倉庫や工場などの現場確認調査も行われます。 事前に、税務署から経営者ないし顧問税理士へ調査の旨の連絡が入り、顧問税理士が調査の日時等を調整していきます。
現況調査 任意調査のうち、事前の連絡なしに抜き打ちで行われる調査を「現況調査」といいます。飲食店や現金商売をする企業が主な対象です。
現況調査が入った場合、焦らずに、まずは顧問税理士へ連絡して、立ち会いをしてもらいましょう。強制調査ではないため、税理士が来るまで調査を待ってもらうことができます。
特別調査 準備調査の結果、一般調査だけでは不十分と判断された場合に行われます。 特に、多額の不正所得が見込まれる場合や、事業規模が大きいグループ企業などの場合に行われます。一般調査よりも長期間にわたり、細部まで調べられます。
反面調査 ある企業へ税務調査が入る際に、その企業と関係を持つと見られる取引先などへも税務調査が入ることがあります。これを反面調査といいます。
強制調査

申告内容について多額かつ悪質な不正が発覚した場合、捜査令状をもって強制的に行われる調査です。
悪質な脱税に対する一種の犯罪捜査であり、裁判にかけるための臨検や捜索、差し押さえを目的としているため、任意調査とは一線を画します。調査は国税局の査察部によって行われ、追徴課税の支払いが必要なのはもちろん、メディアで報道されることもしばしばあります。

税務調査に必要な準備

税務調査の事前検討事項

税務調査では、必ず領収書など証拠資料の提出を求められます。
調査当日に慌てないためにも、事前に資料漏れがないかなどをチェックしておきましょう。

取引の証拠資料のチェック
売上の証拠資 飲食店などの「現金商売」では、レジペーパーや売上伝票、売上領収書の控え、カード売上におけるカード会社別の明細書など。
その他の業種では、請求書や見積書、受注書の控え、契約書、覚書、銀行通帳などです。
仕入、経費の証拠資料 支払い領収書や請求書、納品書、発注書、契約書、覚書、銀行通帳などが該当します。
貸借面の証拠資料 資産の購入や賃貸借がある場合、借入などがある場合は、それらの契約書や覚書など。仕入がある業種で期末の仕入の在庫がある場合は、その在庫表が重要です。

※入金があるのに売上でない前受金や、支払いがないのに経費になっている未払費用などについては、 その内容が分かる資料を揃えておきましょう。

※源泉所得税や法人税などの納付書控えや社会保険料などの通知書も、漏れ無く用意しましょう。

会社の基本書類のチェック
  • 会社の定款
  • 株主総会や取締役会の議事録
  • 旅費や退職金規定の書類
  • 登記を変更した場合の履歴事項全部証明書
  • 従業員の雇用関係書類

などを確認する必要があります。

特に、役員給与の改定などに関する議事録は、税務調査で必ずチェックされます。ある程度規模の大きい会社であれば、組織図やグループ会社関係図なども用意しておいたほうがよいでしょう。

事前チェックのポイント

POINT不安があれば税理士に相談

税務調査に慣れた税理士が資料の再チェックを行うと、調査の展開がある程度イメージできるものです。調査や資料について不安があれば、税理士に必ず相談しましょう。
調査の前にどこが問題であるか事前に把握できていれば、税務調査は納税者側にとって有利に展開できます。

POINT資料は最低3年分必要

税務調査は最低でも3年分、さかのぼって行われます。悪質と見なされた場合は最大で7年前の分まで調査される可能性があります。8年越しで過去の誤りを指摘されうるわけです。
こうした過去への指摘に対して、きちんと答えられるだけの処理と証拠資料の保存をされているでしょうか?また、もし証拠資料のない(保存されていない)取引があった場合は、税務調査で必ず問題視されることを覚悟しなくてはなりません。こうした場合は、事前に顧問税理士と対処方法を検討しておく必要があります。

書面添付制度の活用

書面添付制度は、税理士が作成した申告書に一定の書面を添付することで、税務調査前に税理士から税務署への意見陳述の機会を与えられる制度です。

書面添付制度のメリット

書面添付制度の最大のメリットは、税務調査の実地調査が省略または短縮となるケースがあることです。
原則として、税務調査の際には税務署から経営者へ直接連絡が入ります。
しかし、「書面添付」を行うことで、まず書面を作成した顧問税理士に連絡が入り、書面の内容に関する意見陳述の機会が与えられます(※)。その段階で調査の必要性がないと認められれば、実地調査が省略または短縮されるのです。
※ 事前に通知のない調査の場合、意見陳述の機会は与えられません。

添付書面の記載内容

書面には一定の書式があり、顧問税理士が記載して提出します。
一定の基準を満たした決算申告書にのみ添付することができます。
作成した申告書について、顧問税理士がどの程度かかわり、検討・判断したかを記載します。
顧問税理士の責任範囲を明確化することが求められるためです。
「書面添付制度に係る書面の有用事例集」(PDF)
書面の記載内容において、税務署側が調査省略事務等の参考としている「税理士法第33条の2に規定する書面添付」のモデル事例として国税庁において作成された資料です。

税務調査の流れ

調査の順序

税務調査のほとんどは一般調査です。一般調査の場合、いきなり税務署員が押しかけてくることはまずありません。調査は下記のような流れで進行します。

STEP 01

税務署からの事前連絡

一般調査の対象になると、事前に税務署から会社に連絡が入ります。
顧問税理士がいる場合には、税理士に連絡が入ります。

STEP 02

調査日の日程調整

調査の日程は、会社側の都合に合わせることが可能です。
繁忙期などには、2~3週間先になることも多々あります。
顧問税理士と日程を調整の上、調査日を決定しましょう。

STEP 03

税理士との資料内容確認

調査では、領収書などの証拠資料を必ず求められます。
当日に慌てないためにも、資料は事前にきちんと用意しておきましょう。
また、税理士との間で、当日の流れについてある程度予測を立てて確認すべき点を抑えておけば、調査日に余裕を持って臨むことができます。

事前の準備について詳しくはこちら

STEP 04

調査当日

事前に準備をしておけば、あとはリラックスして臨むだけです。
調査官の質問には自然体で回答しましょう。
一般調査であれば、会社内の実地調査は通常2日ほどで終わります。

税務調査当日のポイントはこちら

STEP 05

税務署による分析と、顧問税理士への連絡

調査後、税務署員は実地調査で収集した資料の分析を行います。
調査内容に問題がなければ、申告是認となり終了です。
実際の税務調査ではこのケースも少なくありません。
指摘事項などがある場合には、顧問税理士へ連絡が入ります。
顧問税理士はその指摘事項を分析し、税務署側の主張が正しいのか、または反論できるのか検討し、税務署側と折衝を繰り返します。

STEP 06

修正申告書の作成

申告内容に誤りがあった場合には、税務署と顧問税理士が折衝して調整を行います。
顧問税理士の経験や折衝力が大きく影響する場面です。
調整後の額について納税者の合意が得られたら、修正申告書を作成します。
なお、税務調査にて修正申告が発生した場合には、翌年の法人税申告の際、前年度の修正申告書を加味して作成する必要が生じるため、計算が特に複雑になります。
調査額にどうしても納得がいかない場合は、修正申告を行わずに税務署の「更正」通知を待つ形となります。更正の内容にも納得がいかず、応じない場合は、国税不服審判所の審査を経たのちに裁判で争うことになります。

STEP 07

追徴課税の納税

修正申告後、不足分の税額や延滞税、過少申告加算税、場合により重加算税といった追徴課税を納めることになります。追徴課税の納付は一括が原則ですが、無理な場合は税務署と協議の上、分割納付を図ることができます。

税務調査後の影響について詳しくはこちら

税務調査当日のポイント

POINTまずはリラックスして臨みましょう

税務調査を恐れる必要はありませんが、初めて調査を受ける方はとても緊張されるようです。
まずはできるだけリラックスして、感情的にならないことが大切です。
顧問税理士がついている場合、税務署側の行き過ぎた調査展開に対する指摘や、法的な解釈のせめぎあいは税理士が担当してくれます。

POINTうかつな発言にご用心

税務調査は、取引の処理が税法に照らして正しいかどうか、「解釈」のせめぎあいです。
調査結果が解釈の仕方いかんで決まるところがあるため、軽い一言が後々のトラブルのもととなるケースも少なくありません。調査官の質問への回答や世間話においても「のり過ぎ」は禁物で、嘘を言う必要はないにしても、何事も慎重な言い方を心がけたいものです。

税務調査は、取引の処理が税法に照らして正しいかどうかという「解釈」のせめぎあいです。
調査結果がどのような解釈をするかで決まるところがあるため、軽い一言が後々のトラブルの原因となるケースも少なくありません。調査官の質問への回答や世間話においても「のり過ぎ」は禁物で、嘘を言う必要はないにしても、何事も慎重な言い方を心がけたいものです。
例えば、AからBへの支払いがあった場合に、これを取引の対価すなわち「経費」の支払いと見るか、支払う対価のない「寄付」と見るか。事実の解釈次第で経費が認められたり否認されたりします。こうしたケースでは、証拠資料はもちろん、経営者の一言も重要な判断材料となる場合が往々にしてあるのです。

税務調査後の影響

修正税額は大きくなりがち

税務調査では通常3年分、最大で7年分まで過去にさかのぼって調査を行います。
申告の誤りが数年分にわたる場合は、その分だけ修正税額も大きくなってきます。
また、税務署の調査は法人税や消費税といった国税に関するものですが、それに伴って地方税の修正も行わなくてはなりません。多くの税目について延滞税や過少申告加算税、場合により重加算税が発生しますので、全体の追徴金額は大きくなりがちです。

未納があると銀行融資が不可になるケースがある

追徴課税を一括で納められない場合は、税務署と分割納付の交渉をすることができます。
しかし、未納がある間は、金融機関へ新たな借り入れを申し出ても断られるケースが少なくありません。
そのため、未納分を自力で納めていかなければならず、滞納になることも少なくありません。
いったん滞納が始まると、完納までの道のりはとても長くなるのが常です。
滞納があり融資を受けられないと、事業展開は大きく狂ってしまいます。
ただし滞納がある場合でも、税務署との分割協議の結果を示す協議文を銀行に提出することで融資が実行できる事例もあります。詳細は顧問税理士と協議をしてみてください。

まとめ

たしかに税金に関する知識には難しいものもありますし、初めての税務調査に緊張される方も多いかと思います。ただ、何も怖いことはありません。重要なのは、事前にしっかりと準備をしておき、自信を持って情報を開示することです。

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