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新人経営者ための決算書作成講座 銀行目線での決算書の読み方

2015/08/10

よほどの優良企業でない限り、資金繰りの悩みはつきません。手形決済を行っている場合は現金化までに2カ月以上かかることも多く、回収までの運転や設備投資のためには銀行から借り入れることも必要になります。資金調達は企業の成長に欠かせない重要な活動のひとつです。
では、銀行から融資を受けようとしたとき、何が必要なのでしょうか。

銀行が融資決定の判断材料とするポイントは「返済能力があるかどうか」です。営利企業である銀行は、融資が金利とともにきちんと返済されなければ利益が出せません。
そこで融資可否の判断のために重要なのが企業の「決算書」です。

まずはおさらい、決算書って何?

通称で決算書と呼ばれていますが、正式には「財務諸表」を指します。
一定期間の経営成績や財務状態などを明らかにするために作成する書類のことをいい、「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「キャッシュフロー計算書」などが代表的です。これらが財務諸表、つまり決算書に当たります。

銀行が見ているのは決算書のここ!

数ある書類のなかで、決算書の中心は「貸借対照表」と「損益計算書」です。銀行が融資判断を行う際も、この2つの内容を重視します。

貸借対照表

貸借対照表は、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」で構成され、それぞれが項目で分かれています。
そのなかで、ポイントとなる部分を見ていきましょう。

 

金融機関がまず確認するのは、貸借対照表の「純資産の部」で、自己資本です。
これは企業の「耐久性」を判断するためであり、すなわち倒産の危険性が高いかどうか、ということです。
総資産のなかで自己資本の割合が高ければ、財政状態が健全で長期的支払能力があると見なされ、逆に自己資本比率が低い企業は他人資本(負債)に頼らざるを得ず、そのため経営が不安定だといえます。
ちなみに自己資本比率は「自己資本(純資産)÷総資産」で求められます。望ましい自己資本比率は40%以上80%未満、などといわれていますが、これは業界や規模などで変動し、必ずしも自己資本比率が低いから不良、とは言い切れないのが実際です。

純資産が少ない、すなわち債務超過であり、さらに借り入れが必要な企業に、銀行が融資を行うのは困難です。
また、自己資本はそのままの額ではなく、修正が加えられた状態で判断されるため、その点に注意しなければなりません。自己資本が加算・減算されるのは主に以下の項目です。

■加算項目
貸借対照表の「負債の部」にある「借入金」の項目のなかに、自社の経営者からの借入金があれば自己資本に加算することが可能です。これは、中小企業の多くは経営者と一体になっていることが多く、経営者からの借り入れ分は「返済の必要がないお金」と解釈できるためです。そのため、経営者からの借り入れは自己資本と同等の資金と見なすことができます。

■減算項目
減算されるのは、貸借対照表の左側、「資産の部」にある項目です。決算書上には「破産更正債権」と書かれ、取引の相手方の倒産などで回収不可能となった債権「不良債権」が減算の対象になります。

貸借対照表で、純資産の次に重要なのは「借入金」です。「負債の部」に計上され、借入金を合計したものが「総借入金」です。
融資の限度額を判断する方法として借入金月商倍率というものがあり、「借入金÷月当たり売上高」で算出できます。この倍率が3未満であれば借り入れが可能とされ、3~6であれば要注意のため追加の保証人などを求められることがあります。6以上の場合、借り入れは非常に困難といえるでしょう。
いずれの数字も目安ですが、決算書のみで判断できるためよく利用されています。

損益計算書

損益計算書は、一定期間における経営成績を表したもので、会社の収益や、そのための費用、利益などを知ることができます。
損益計算書には細かな勘定項目がたくさん並んでいますが、銀行が融資判断を行うときに重視する項目は決まっています。

 

はじめに損益計算書で確認されるのは、企業の業績が赤字なのか黒字なのかということ。
損益計算書には「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引き前利益」「税引き後利益」の、5種類の利益が記載されています。このなかで銀行が注視するのは、営業利益と経常利益です。この2つによって、企業が本業で利益を上げる力があるかどうかが判断されます。

■売上総利益
売上総利益は、売上から直接の原価を引いたもので、従業員の給料や地代、販促費などの営業費用は控除されていません。そのためこの数字はほとんどの会社で黒字となります。逆にいうと、この数字が赤字の場合に融資を受けることはほぼ不可能で、会社全体で原価割れしていることになり、融資どころかかなり危険な経営状態です。

■営業利益
売上総利益から従業員の給料や地代などを控除した利益が営業利益です。企業の本業による利益を表し、銀行の融資判断ではこの数字が黒字であることが期待されます。この数字が黒字であれば本業の経営状態が健全と見ることができ、融資の可否判断にも大きく関わる項目です。

■経常利益
経常利益は、融資判断の際に銀行が一番重視するポイントです。営業利益から支払利息などの財務費用を控除した数字で、この数字が黒字であれば、営業活動、投資活動、財務活動などのあらゆる費用を引いても黒字であるということ。利息の支払いを行っても利益があるということで、返済能力があると見なされます。

■税引き前利益
税引き前利益は、経常利益から特別損益を足し引きした利益を表します。特別損益とは業務内容とは関係のない損益で、固定資産の売却による損益や、投資有価証券の売却による損益のことをいいます。ここで数字がマイナスになった場合は、税引き前損益になります。

■税引き後利益
税引き前利益からさらに税金を引いたものが税引き後利益になります。税引き後利益は、損益計算書の最下部、減価償却費は製造原価明細と販管費明細に記載されています。一時期だけに発生する「特別損益項目」もありますが、内容によって異なるため、特別損益前の「経常利益」+「減価償却費」の合計額で見るのが一般的です。

まとめ

銀行に提出する決算書で重要なのは、「返済する能力がある」ことを見せること。粉飾決算は絶対にいけませんが、作り方の工夫や財務体質の改善で、融資を受けやすい決算書にすることは可能です。銀行が注目するポイントを踏まえた決算書とは、どのようなものなのかを考えて作成しなければなりません。

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